妊娠前から葉酸の摂取が必要な理由
葉酸不足で神経管閉鎖障害リスクが上昇
食べ物から摂る葉酸や葉酸サプリは、妊娠前から意識して必要量を摂取しなければなりません。妊娠前、妊娠初期にきちんと必要量葉酸を摂取しなかったお母さんの胎児は、神経管閉鎖障害という先天異常が引き起こされやすくなるからです。
妊娠初期に起きやすい神経管閉鎖障害は下部に起きるか上部に起きるかによって症状、深刻度がちがってきますが、最も恐ろしいのは神経管の上部で閉鎖障害が起きた場合です。
神経管の上部が閉鎖されることで胎児の脳がきちんと形成することができなくなってしまい、流産や死産のリスクを伴う無脳症を発症してしまいます。
現在の医療では無脳症を治療する方法が確立されていないため、流産を免れても産まれた胎児は産後すぐに死亡する運命を辿ることになります。悲しいことに無脳症であることが検査で判明すると、人工中絶手術をするかどうか選択を迫られるのが実情です。
妊娠前から必要な分だけしっかり葉酸を摂取していたとしても、無脳症を発症する可能性がないわけではありません。けれど妊娠1〜3ヶ月前から妊娠3ヶ月ぐらいまでは継続して充分量の葉酸を摂取していれば、神経管閉鎖障害リスクを回避しやすくなることが分かっています。赤ちゃんのためにも、母体のためにも葉酸対策はおろそかにするべきではありません。
葉酸不足で二分脊椎リスクも
妊娠前後に母体が葉酸不足に陥ることで、神経管閉鎖障害リスクが高まることは間違いありません。もし神経管の神経管の下部で閉鎖障害が引き起こされてしまった場合、上部の場合の無脳症とは異なり二分脊椎と呼ばれる障害を伴う可能性が強くなります。
二分脊椎も深刻な先天異常で、神経組織が障害を伴うため排泄機能障害や運動障害など下肢の障害を覚悟しなければなりません。